近年、温暖化による気候変動が深刻化し、白馬エリアでも毎年雪不足に悩まされるなど、地域の自然環境や社会経済に与える影響が危惧されています。
また、地域の経済は観光業に大きく依存していますが、国際情勢や災害など不測の事態に備えて地域経済の足元をしっかり固め、未来に向けてしなやかな地域を創っていくことが求められています。
2015年の国連サミットにおいて「SDGs(持続可能な開発目標)」が採択され、日本国内でも様々な取り組みが行われていますが、類稀な山岳環境や世界レベルの生物多様性を誇るこの地域で、自然と共存して将来にわたって豊かに暮らし続けるために、今を生きる私たちにはどんなことができるのでしょうか。
各地で循環する地域経済づくりに取り組む環境ジャーナリストの枝廣淳子さん、米国のスノーリゾート運営会社「ベイル・リゾーツ」で環境政策を推進し、現在は米国ユタ州パークシティの環境サステナビリティ部門を統括するルーク・カーティンさんをお招きし、国内外の先進事例を聴きながら、「地域を豊かにする山岳リゾート」を実現するためのシンポジウムを開催しました。
住民として、事業者として、白馬を愛する一人として、今からできることを考えて取り組むことで、豊かな未来を一緒に創りましょう。
「持続可能で幸せなまちをつくる」 枝廣 淳子 氏
大学院大学至善館教授/幸せ経済社会研究所所長/有限会社イーズ代表取締役。
東京大学大学院教育心理学専攻修士課程修了。『不都合な真実』(アル・ゴア氏著)の翻訳をはじめ、環境・エネルギー問題に関する講演、執筆、企業のCSRコンサルティングや異業種勉強会等の活動を通じて、地球環境の現状や国内外の動きを発信。持続可能な未来に向けて新しい経済や社会のあり方、幸福度、レジリエンス(しなやかな強さ)を高めるための考え方や事例を研究。「伝えること」で変化を創り、「つながり」と「対話」でしなやかに強く、幸せな未来の共創をめざす。教育機関で次世代の育成に力を注ぐとともに、島根県隠岐諸島の海士町や熊本県の南小国町、北海道の下川町等、意志ある未来を描く地方創生と地元経済を創りなおすプロジェクトにアドバイザーとしてかかわっている。主な著書に『地元経済を創りなおす-分析・診断・対策』ほか多数。
"More than just saving snow, How Mountain Community can lead and solve the climate crisis."
「ただ雪を守るだけでは終わらない、気候危機に対するマウンテンコミュニティの役割とは」 Luke Cartin 氏
ユタ州パークシティの環境サステイナビリティ部門統括管理者。
コロラド州ベイルで15年間スキー場の持続可能性を高める取り組みに尽力した後、パークシティに移住し、2022年までにカーボンニュートラル・再生可能エネルギー利用率100%を目指す環境部門を統括。既に公共交通機関の電気化、再生可能エネルギーや環境再生型農業の推進、州法の改正、化石燃料エネルギーの消費量がゼロとなる省エネビル建設促進など、様々な施策が進んでいるパークシティは、環境問題解決に関して北米の中で最も先進的な自治体であり、世界的に見ても非常に野心的な自治体の一つである。活動実績は、ニューヨーク・タイムズやBBC、アウトサイドマガジン、ニューズウィークなど、数々の国際的なメディアで報道されている。現在は、パークシティの郊外で妻と3人の子供とたくさんの動物と共に暮らす。
白馬の豊かな未来の創り方
和田 寛 氏
白馬観光開発株式会社 代表取締役会長
大学法卒業後、農林水産省に入省。その後、外資系戦略コンサルティングファームのベイン・アンド・カンパニーを経て、圧倒的な山のスケールと山岳景観に惹かれ、2014年に白馬観光開発に入社。2017年より現職。
小松 吾郎 氏
一般社団法人 Protect Our Winters Japan 代表理事
プロスノーボーダー
北海道ニセコ生まれ。世界各国の雪山を滑り、HAKUBAVALLEYを定住の地に選択。
もっと平和で、もっと楽しい、もっと優しい、もっと寒い地球を目指してPOWJを設立。
藤川 まゆみ 氏
NPO法人上田市民エネルギー 理事長
長野県で「相乗りくん」市民発電所PJを展開。みんなでつくるエネルギーで世界を変えようと活動中。2018年に環境大臣賞受賞。自然エネルギー信州ネット会員。
枝廣 淳子 氏
大学院大学至善館 教授
幸せ経済社会研究所 所長
有限会社イーズ 代表取締役
シンポジウムの開催にあたり、⾃然の恩恵を受けてビジネスと暮らしを営む地域として、問題に対してどう動き出せばよいのかを地域の様々な⽴場の⽅々と共有していくことで、今後の地域のあり⽅について、考え⾏動するきっかけになればと思い、企画・運営に取り組んでいます。
地域で事業を営む皆様には、下記のいずれかのご協⼒をいただくとともに、シンポジウムへの積極的なご参加と今後の取り組みへのお⼒添えをご検討いただければ幸いです。