パネルディスカッション③ 【活】 観光

世界と戦える国際観光地づくり

  • パネリスト
    • 石田 幸央 氏(ヤフー株式会社公共サービス事業本部長兼地方創生支援室長)
    • 宮田 誠 氏(株式会社ユーフォリア代表取締役、白馬国際トレイルラン発起人)
    • 丸山 俊郎 氏(白馬八方温泉しろうま荘支配人、ホテル支配人・オブ・ザ・イヤー初代世界グランプリ)
  • モデレーター
    • 福島 洋次郎 氏(一般社団法人白馬村観光局事務局長)

(総合司会:松沢斉)
それでは、第3部に移りたいと思います。
観光のモデレーター・進行役は、若い白馬村観光局事務局長、福島洋次郎さんです。
それではよろしくお願いします。

(福島洋次郎氏、以下「福島」)
はい、よろしくお願いします。 ただいまご紹介いただきました白馬村観光局事務局長の福島洋次郎と申します。そちらの斉くんとは同じ白馬町出身で後輩なんですが、あんまり先輩を思っていなくて適当な紹介で済まされてしまったんですが(笑)
時間が無いということで、観光に関すること、皆さんこの村に住んでいる方はほぼ老若男女すべての方が直接的または間接的に観光に携わっている方ですので、皆さんにとっては一番身近なトピックでお話させていただく形になります。ただ、観光ってみんなに喜びを与える事業、仕事ですから、あんまり肩肘張らずに、みんな笑顔で、ただ目は開けてくださいね、よろしくお願いします。

それでは私の方から、パネリストの紹介をさせていただきます。 まず石田幸央さんですね、ヤフー株式会社で、白馬には地方創生支援室長として来ていただきまして、白馬だけではなくて全国各地の地方創生に携わっていて、地方創生という言葉であれば石田さんに全て聞いてください。国内屈指のエキスパートの方です。白馬でもトレイルラン等たくさん手伝っていただいている頼もしい先輩でございます。よろしくお願いします。

続きまして、宮田誠さんです。宮田さんは東京で株式会社ユーフォリアという会社の代表を務めておりまして、トップアスリート向けにワンタップスポーツという体調管理、コンディショニングアプリを開発しておりまして、皆さんもまだ記憶に新しいと思うんですけれども、ラグビーのワールドカップですね、あの時のエディージャパンの全選手の体調管理をして、それまでのラグビー日本代表にはやっぱり精神論みたいなのが残っていたりして、あまりコンディショニングというものが浸透していなかったところに、彼がコンディショニングシステムというものを導入して、劇的な南アフリカ代表を破るという結果につながりました。それが認められて、今はエディージャパンだけではなくて、様々な日本代表のチームのコンディショニング等をやっております。そんな方ですけれども、6年前からやっている白馬国際トレイルランの発起人でもあり、1月に開催するフリーライド白馬の招致委員を務めていただいております。お母さんが白馬村出身の方で、昔から白馬に馴染み深い方です。よろしくお願いします。

最後は…、ちょっと紹介しようと思ったんですが、何ですか、この写真は(笑)
信州白馬八方温泉しろうま荘の支配人丸山俊郎さんです。丸山さんはつい先日、ラグジュアリートラベルアワードのホテル支配人で世界一になったということで、おめでとうございます。みんな街で会ったら「よっ、世界一」と呼んであげてください(笑)。その辺のこともまた後で詳しく聞かせていただきます。ちなみにこの写真はジャングルクルーズ船長時代の写真ですね。そういったことがホスピタリティにつながっているという、時間があればお話いただこうかと思います。よろしくお願いします。

まず、この4人に共通していることというと…、あ、すみません、僕の紹介するのを忘れていました。先ほど斉くんからも紹介を受けましたが、6月から白馬村観光局の事務局長に就任いたしました。その前は東急ホテルに勤めながらインバウンドの招致活動をしておりました福島洋次郎です。よろしくお願いいたします。

(福島)
この4人に通じることというと、まずこの白馬国際トレイルランですね。今年で第6回目を数えまして、石田さんを除くこの3人は実行委員に加わっておりまして、一から全部やっているわけですが、石田さんはトレイルランの一番肝心要のボランティアの部分で東京の方から精鋭を連れてきていただいて、本当に一人ひとりが一騎当千の活躍をしていただいた形で、今年も石田さんがいなければ会場周りがカオスになっていたという状況です。
こんなトレイルラン、9月の端境期にちょうど行われているんですけれども、もう白馬の中で最も集客力のあるイベントに成長しております。なんでこんなことを始めたのかということを、ちょっと気になる方もいらっしゃると思いますので、まず発起人である宮田さんにどういった経緯でこういうことを始めたのか聞かせていただきたいと思います。宮田さん、お願いいたします。

(宮田誠氏、以下「宮田」)
宮田と申します、よろしくお願いいたします。
トレランはですね、7年前くらい、ちょうど2010年くらいに考えを思いつきまして、隣にいる丸山俊郎君ですとか、モデレーターの福島洋次郎さんですとかと話を始めたんですが、「国際」という名前が最初から付いているんですが、これを単純にやりたかったんですね。これはシャモニーのモンブランでもう15年くらい行われているトレイルランニングの国際大会で、夏場の目玉になっているんですね。スキーよりもたくさんのお客さんがこれを目指して、世界中を転戦して来るような大会なんですけれども、「これをやりたいなと思った」というととてもキレイなんですけれども、実は全然違って、私は母親の実家が宿で、今いとこが経営者をやっているんですが、小さい時から通っていて、高校生とか大学生のときは長い休みはずっとお手伝いをしていました、学生バイトみたいな感じですけれども。やっていく中で、バブルが一回はじけて、オリンピックの後また景気が悪くなって、というのを繰り返す中で、真冬の繁忙期でもお客さんが埋まらなくなってきたというのを、学生時代に見てきました。そんな中で、冬にもお客さん呼びたいなというのももちろんあったんですけれども、これだけきれいな夏場のグリーンシーズンの山々に、なんで人が来ないんだろう、という単純な疑問があって、それを見せるためのイベントって何かないんだろうか、というのをひたすら考えていた、というだけなんです。だから私はトレイルランニングのトの字も知らなくて、7年前くらいは東京でタイヤメーカーに勤めていたんですが、その時のパートナーというか取引先の方がすごくトレイルランが好きでかつビジネス観点も持たれていた方で、「宮田君、これいいよ!」と言った時に「あ、いいですね!」と言ってですね、僕が探していたソリューションがたまたまトレランだったというだけです。

(福島)
ありがとうございます。でも、それから始めて、1回、2回とどんどん成長して、今トレイルランって、その時国内でだいたい30くらいしかなかったのが、ばーっと流行ってきて、今すごいことになってますよね。

(宮田)
そうですね、これ雑誌の読者ランキングで、去年第2位という評価をいただきました。 そして、これはランネットというマラソン大会のヤフーみたいなサイトがあるんですけれども、会員が160万人いまして、その中で投票いただいて今年は白馬の大会が1位ということで、皆さんから評価をいただきました。

(福島)
こういった形で6年間やってきて、普段我々の常識の中では9月に白馬にお客さんってそんなに来ないよね、というのを完全にぶち破りましたよね。コンテンツさえしっかりしたものが揃っていれば白馬ってそれだけお客さんを呼べるポテンシャルがある。別に8月じゃなきゃいけない、1月じゃなきゃ、2月じゃなきゃいけない、そんなことはないんだということをここで証明するための、宮田さんが一発トリガーを引いたということですね、のろしを上げたとか、そういった言い方はあるんですけれども、何かしら大きく花火を打ち上げたという形になります。

(福島)
もう一人、世界に対してのろしを上げたというか、大きな花火を打ち上げた方がここにいらっしゃいます。丸山俊郎さん、今回の受賞がどんなアワードだったのかとか、受賞の経緯ですとか、個人の受賞ではなくて、白馬のために、世界に白馬を知らしめるためにこういったことをしてくれたということを、俊郎さんに聞いてみたいと思います。

(丸山俊郎氏、以下「丸山」)
丸山です、よろしくお願いいたします。
細かく話す時間はないので、なぜ始めたかというところから言いますと、先ほど宮田くんが言ってくれたこととまったく同じで、第一部から白馬は自然が豊かでこれだけ良いものが揃っている、と言っているのにお客さんがいない、ということが起きていて、みんな悶々としている中で、どうしたものかということを考えていて、自分は外に居たのも長かったですけど、外から見ても戻ってきてもやっぱりこれだけ良いものがあるというのに全然それが伝わっていないというのがあったので、僕はバキューンということで世界に向かって魅力を発信してみようというのがきっかけでした。

元々は賞は関係なく、宿だったり地域で受入れということを始めているうちに評価が付いてきたので、自信を持ち始めたんですが、その中で例えばホテルの評価だったり、今回初めて個人部門というものが来たんですけど、元々この支配人の、今年初めて個人部門ができましたというお知らせが来た時に、こんなちっちゃい宿の支配人でいいのかっていうことで躊躇してたんですが、宿単体としてはそうなんですけど、日頃皆さんと一緒に行っている白馬の活動、これはもう世界に自信を持って発信できるものだということで、白馬でやっていること全てを前面に出して行こうということで、それを出しつつ進めて行けば何か形として残るんじゃないかということと、残った時にそれは大きな白馬の発信力になるんじゃないかということで。
これ話すとすごく長いんですけど、ノミネートが実際決まってからいろんなステップを踏んでいくんですけど、そのうちの一つに自分のやっている活動内容ですとか、論文式のQ&Aとかいろいろ出すんですが、もちろん宿としてやっていることもそうなんですが、ジャッジ基準の中に"sustainable development"、永続可能な発展ですね、これはあくまでも発展はしないといけないので、必要な開発等は含みますし、今世界の名立たるホテルというのは、永続可能でないとやっていけないのはわかっているので、以前に皆さんがイメージしてた乱開発というものはしていなくて、自然と調和したものを造るし、すごく良いものを造っているんですけど、世界はそっちに動いているので、サステナブルディベロップメントという意味で言いますと、例えば一つの宿がそこのことだけずっとやってて生き残ったとしても、地域が疲弊してしまっていたら最終的に自分のところの宿も生き残れないので、サステナブルディベロップメントというのにはすごく反してしまうんですね。
先ほど宮田くんが言っていたトレイルランのイベントですとか、他にも白馬の皆さんとイベントに携わらせていただいているんですけれども、そういうものに自分の宿のこと以上に、というか同時進行で力を注いで地域を優先という形ですかね、どちらかというと、力を入れているんだということをアピールすることが重要だったので、日頃のイベントですとか、ここにもいらっしゃる高校生と一緒に観光英語の非常勤講師の活動をしたりですとか、皆さんと一緒に、私に限ったことではないんですが、山の保全活動ですとか、そういったことをプロフィールの中に盛り込んでいって、最終的に中国、イギリス、ポルトガル、オーストリア、ジャパンということで、トップ5に残ったんですね。そんなことを繰り返しているうちに、気付けば世界一なんですけど。

もう1枚のスライドの方は、これは私どもの宿でやっていることなんですけど、冬の間に”sake tasting”といって地酒を20種類並べてそこから好きな6種類を飲めるというイベントですとか、お餅つきなんかもやっているんですけれども、これもそんなにすごく特別なことじゃないですし、白馬に元々あるお酒ですとか、先ほどから農業のお話も出てますけれども、もち米もあるのでそれを使って形にして発信しているということだと思うんですが、そういったものがお客さんから見ても、世界的に見ても価値あるエクスペリエンスという、ここでしか体験できない、サービスエクセレンスというのがジャッジ基準にあるんですけど、そこに見事に合致しているというところで、おそらく私たちからしたら非日常ではないことをお客さんにとって非日常であるということを演出して見せたということによって、そこが評価されたということはあるかと思います。

(福島)
地元のお米でつくお餅ですとか、地酒ですとか、まぁお母さんも元気そうで(笑)

(丸山)
そうですね、作っている本人が説明するというか。さっき心の豊かさというお話があったんですけど、これラグジュアリートラベルガイドという、ラグジュアリーが付くんですが、やっぱりどうしてもまだ日本だとラグジュアリーというと、ゴージャスだとか高級というイメージがあるんですけど、世界の方は心の豊かさ、そこでしか味わえないもの、それこそが贅沢なものだと考えが移ってきていますので、やっぱりそういうものが白馬にはいっぱいあるということで、そこを自分たちで認識して発信すれば世界からも評価されるものになるということですね。

もう1つ、ロケーションというものが評価基準、ジャッジのポイントの1つに入っていまして、これはまさしく白馬そのものなんですけれども、空港に近いとか駅に近いというアクセスのロケーションもあるんですが、いわゆる自然風景が素晴らしいというロケーションもジャッジの基準になっていまして、うちなんかは山が見える部屋があったりですとか、昔ながらの木をちゃんと残しているというのはポイントが高いんですけれども、やっぱり白馬そのものというものがすごく評価が高くて、今回あまり皆さんにご報告できていないですけど、白馬はディスティネーションとして、このアワードのアジア、オセアニアで10個だけ選ばれる都市に選ばれんたんですね。他は、上海とかシンガポールとか、タスマニアとかメルボルンとか、日本だと北海道が選ばれているんですけど、その中で「白馬」というのがあるんですね。これものすごい快挙で、それくらい今白馬という場所が注目されているので、それをぜひ活かしてほしいなと思います。

(福島)
やっぱり土地とか、伝統、文化、歴史、そういったものがあるからこそ、このしろうま荘というものの価値が創造されていくみたいなところがあるんでしょうね。

(丸山)
そこがないと世界と勝負できないので、反対に言うとそこを前面に出せば世界に負けないというのがあったので、今回はそれが証明されたのかなと思います。

(福島)
なるほど、改めておめでとうございます。世界一です(拍手)

(福島)
そういった白馬の持つ力を十分に引き出すことによって何か新しいものというか、今まで白馬を知らなかった人が白馬を知るきっかけになるものをこちらで創り出すことができるという、これは非常に大きな力だと思います。
石田さん、いろいろなイベントですとか地方創生といったもので、白馬の持っているというか、他のエリアが持っている力ですとか、いろいろ見て来られたとは思うんですけど、我々みたいにどっぷり白馬に使って住んでいるような人間だと、どうしても俯瞰した目で見ることが若干困難になってくる部分もあるので、そういったところで石田さんのようにいろいろなところの地方創生に関わっている方から見て、例えばツール・ド・東北なんかにも石田さんは関わっていらっしゃいますけど、白馬は今どういったところが素晴らしくて、でもこういったことはちょっとやった方がいいんじゃないかということはございますでしょうか。

(石田幸央氏、以下「石田」)
このツール・ド・東北、私は一番初めからボランティアで参加して、4回ずっとボランティアでやっているんですけれども、なんでそんなことをやっているかと言われると、楽しいからなんですね。何が楽しいかと言うと、行くとその土地の人たちと触れ合うことができて、その人たちとお話もできていろいろ教えてもらえるし、こんな楽しいことはないんですよ。先ほど過分なご紹介をいただいたんですけれども、トレランはちょっとだけ手伝っただけなんで、僕がいなければ動かないとかそんなことはないんで(笑)、ちょっとだけエイドステーションで田中なおぶみ、組長と言われている、ご存知かもしれないですけど、彼の手伝いをして、僕は甘酒を配っていて、そうしたら走ってくる人が真っ直ぐ行きそうになるので誘導したりして「警察ですか?」みたいに言われて「いや、違います、こっちです」みたいな、そういう感じでみんなと触れ合えて楽しいんですね。で、ツール・ド・東北は4回やりました。

先ほど大宮学級委員長から「羨ましい」という話があったんですけれども、まさにそうで、どこを撮っても、どの写真を撮っても無茶苦茶きれいなんですよ。石巻のエリアもすごくきれいなんですけど、ここに来ると何枚も同じ写真を撮りたくなるんですよ。これ、同じ現象がスイスのツェルマットにいたんですけど、マッターホルンの写真を30枚くらい撮ったんですよ、同じような構図のやつを。そんなことが白馬でも起こって、僕のiPhoneには同じような白馬岳の写真が30枚くらい入ってます。だけど、違う季節の時に撮っているから、全然違う風景の写真を撮れているんですね。

次のスライドは受け売りで、デービッド・アトキンソンさんが書いた「新・観光立国論」に書かれているんですけれども、観光の4要素というものがあるんですね。気候、自然、文化、食事という4要素があるんですけれども、この裏にある写真は秋に来た時に撮った写真だと思います。白馬がどうなのかというと、こんな感じかな、と。すみません、食をやっている人に喧嘩を売るような三角にしちゃってるんですけど、違いますよ、ちゃんと聞いてください(笑)、これからもっともっとできると思います。今日も農かふぇに行かせていただいて、すごく美味しいご飯をいただきました。あぁいうレストランがどんどんできていいと思うんですよ。良いものはいっぱいあるので、それをやっていただきたいということ、伸びしろという意味で三角を付けさせていただいておりますけど、他の部分はもう丸、二重丸ですよ。四季もある、雪も降る、皆さん、最近撮った写真で紅葉の白馬撮ってますよね?すごい良い写真ですよね。自然、もちろんです。文化も、皆さん住んでらっしゃる方を含めてすごく良い方がいて、僕はまだ1年しか関わっていないのに、こんな皆さんとこんなに仲良くさせていただいて、こんなところにも呼んでいただいて、そういう外の者、よそ者と言っても実は僕は長野は縁が深くて、信州大学出身ですし、家内は中野市でブドウ農家をやっています。その息子が後を継ぎまして、インターネットで楽天で売ってるんですけどね、なんでヤフーで売ってないのかわかんないんですけど(笑)、楽天で1位取ったりしてすごい売っているんですけど。そんなわけで皆さん受け入れてくれる良い土壌だなと思っています。

次のスライドはちょっと意識してもらいたいんですけど、移住定住を全国で進めていますけれども、移住定住は週7日住めという話なんですけれども、2日間週末に観光に来るという人を4人呼び込むと定住する人1人よりも多いんですね。これ、数字ですよ、事実なんで、こういうことを意識すると観光客をいっぱい連れてくることで、移住定住を促進することと同じ効果を得られる。観光としてこれから生きていくためには、こういうところを意識して、そんなに人増えちゃうと困っちゃうんだけどなというのもあるとは思うんですけれども、こうやって人を増やすことが一つの方法なんじゃないのかなと思います。

次に僕がこんなことやりたいなーと思っているんですけれども、ウィラートラベルさんというところがですね、沖縄と新潟でもやったんですけれども、レストランバスというものを企画して運営しました。どういうことかというと、風光明媚なところにレストランとか無いですよね。だから、バスのレストランをその場に持って行って、シェフと料理を積んで行って、そこで調理しちゃうんですよ。これ、すごく良いアイデアだと思いませんか?これぜひ白馬でやりたいと思うんですけど、皆さんいかがでしょうか。(拍手)お、これでもうやりましょう。これはウィラートラベルさんとも話をしていますし、これを企画した人とも話をしています。

なので、そんなことをやりましょうというお話なんですけど、皆さんにお伝えしたいこと、これうちの息子たちと一緒にスキーとかスノボやっている画なんですけどね、スキーって素晴らしくて親がお金持ってないと連れて行けないんですよ。だから子どもと一緒に行くんです。これは登山も同じで、装備にお金がかかるんで、子どもだけじゃできないので、家族で一緒に行くんです、というのを、先週草本さんとか旦那のジョーさんと話したんですけど、「そうですよね」、と。それをやりながら、ここに書いてあるのは、Will, Must, Canの輪というのは、ドラッカーさんが書いているマネジメントの思考編ですけれども、今やるべきこと、仕事とか勉強とか、そこにできることが増えてくるんですけれども、何のためにそういうことを増やしているかというと、やりたいことをやるためなんですね。ここの3つの中で、やりたいことをやるっていうのはいつなのか、今でしょ、みたいな話なんですけど、今できることを全力でやって、今ここ白馬でやるべきことっていうのはいっぱいありますから、それをやりましょう、まずやる、と。先ほど草本さんからプログラミング教室のお話があったんですけど、あれやったことなかったんですね。白馬でチャレンジさせていただきました。そのチャレンジを、これやっちゃえばいいじゃん、と。やりましょう、でもやったことないです。だから初めてやるんでしょ、いいじゃん、考えてやろうよ、ということでどんどんやってみて、ボランティアもそうだし、行ってやってみると良いことばっかりなので、やりましょうと。やってから、ちょっと次、考えてみましょう、と。上手くいかなかったことあるよね、もっとこうしたかったよね、というのを考えて次のアクション、これPDCAのサイクルですけど、そういうふうにつなげていければ良いんじゃないかなと思って、ちょっと生意気ですが書かせていただきました。

(福島)
ありがとうございます。
私も小さい頃からよく怒られてたんですけど、口じゃなくて手を動かせみたいな、まずやれとよく言われてたんですけども、そういう親に教えられたことと通じる部分もあるんだろうなという気がしますね。まずやるということなんですけれども、ただ、トレランの話に戻るんですけど、普段いろんな仕事、デイリーの業務をこなしながら、家に帰ったら子育てして、奥さんに気を遣って、地区の行事に参加している中で、さらにエキストラで誰かやらなきゃいけないわけですよね。そこって、すごいパワーが要ることなんだと思うんですよね。大なり小なり、トレランもそうですし、今北アルプス自転車協議会なんかも夜中に集まって、あぁしなきゃこうしなきゃみたいなのを話し合いながら自転車文化を白馬に根付かせようということで夜通し喋ったり動いたりしてるわけですよ。最初の大きな歯車を動かす力って、思ったよりずっと大変なんですよね。丸山さんもしろうま荘という自分のお宿があって、八方区でもやらなきゃいけない業務もあって、さらにトレランをやる原動力みたいなのって、一体何なんですか?

(宮田)
最初、これっていいと思いません?って7年前くらいに言った時の、あの時の反応は?どんな感じでした?

(丸山)
「やれればそんなに良いことはない、ただステップを踏んでいくうえで、思っている以上に大変だよ」と伝えたうえで、でもやった方が良いということは間違いなかったので。その時に後輩たちにも声をかけたんですよね、そうしたら「大変ではあるけれども、それはやった方が良い」という風潮が生まれたので、これはいけるんじゃないかというのはありましたよね。やっぱりそこは1人ではできないし、何人かそういう「やれるぞ」という人たちが数名集まればいけると思いますけど。

(福島)
一人じゃ歯車を回せないけれども、仲間がいれば回せるということですね。

(丸山)
何かしなければという人はこの会場にもかなりいらっしゃると思うので。

(福島)
そうですよね、先ほど石田さんがウィラートラベルのお話をして拍手されている方たくさんいらっしゃいましたよね。やればいいという。やる側に回っていただけるということで、本当に嬉しいなと思いますけれども(笑)

(石田)
本当にありがとうございます。

(福島)
ウィラーだけじゃなく、トレランの方にもぜひ…(笑) お手伝いいただけると非常に嬉しいですけどね。

(宮田)
たぶん皆さんたくさんアイデアをお持ちだと思うんですよね、たまたまトレランは私がいいなと思ってビジネス的というか流れ的にいいなと思って相談したら、「既にマラソンレースとか自転車レースをちょうどやりたいと思ってたんだ」とちょうど言ってくれたんですよ。そういう方が、たまたま良いタイミングでポンって石を投げたら、たまたまくっついたっていうだけであって、タイミングが良かったと思います。たぶん、時代というか、みんなそうなってきていたところだと思うんですよね。

(福島)
そういうふうに考えると、今日のこの会みたいなものとか、この百馬力という組織が生まれたというのも、何か白馬がこれから変わっていくみたいなタイミング、良いきっかけになっているような空気感というのは、例えば石田さんが外から見ていても、そんな感じになってきていますか?

(石田)
こういう皆さんがこんなに集まって、時間が過ぎているのに恐縮なんですけど、なかなか席を立たれないというのもすごい熱気を感じてですね、何とかしたいというか、もっと良くしたいという想いがすごく伝わってきます。
何かをやろうとしたときに、あると思うんですよ、皆さん感情で「なんか聞いてないんだけど」みたいな。これ、聞いてないって言うのじゃなく、僕もあります、仕事で他所の奴が地方創生語ると、「お前が語るなよ」みたいに思うんですけれども、そうじゃないんですよ。ここにどうやって行くといいかというと、「この前ちょっとどう話したか教えて」と言うんですね。「教えてほしい」と言われると嬉しいから言ってくれるんですよ。そこについていろいろ言うんですけど、「聞いてないんだけど」みたいに言っちゃう、その関係よりも、「ちょっと教えてくれないかな」と。たぶん興味あるんですよね、僕もそうだし、皆さんも興味持つんだけど、ちょっとそういう感覚で言っちゃうんだけど、「ちょっと教えて」と言ってもらえると、教える方もいいし、聞いた方もすごい一生懸命教えてくれるので、すごく良い効果が出てくると思うので、そういう関係が良いんじゃないかと思います。

(福島)
あと、先ほど石田さんがツール・ド・東北の話でおっしゃったように、やったらすごく楽しい、みたいな、そういったこともあるんですよね。

(石田)
トレランも皆さんそういった感覚はあると思うんですが、どうですか?

(宮田)
実際に楽しいですよね。……、まぁ正直言って4年間くらい辛いだけでしたけど(笑)

(丸山)
そうですね、2年目はちょっと生きた心地がしなかった(笑)

(宮田)
本当にいろいろな方に迷惑をかけてですね、本当毎日眠れなかったですよ、1年目は。

(丸山)
本当に「野山を踏み荒らすのか!?」みたいなところから始まったので。当時、心配してくれてたんでしょうけど、そういった方々も今は全面的に応援してくれているので。やっぱり「何かやりたい」って言った時に、否定的に見るんじゃなくて、まずやれることを一緒に考えて、聞いてない話があったら今聞いたから、じゃぁ自分は何ができるというふうにみんなが思い始めれば一気に変わっていくような気がしますよね。

(宮田)
他のところでも、富士山でもウルトラトレイルの大会とかやっているんですけれども、白馬が圧倒的にすごいのは、「これって教えていただけませんか」って言った時に出てくる人、物、情報の量がすごいんですよ。他のエリアで大会をやると、全部有料でレンタル会社から借りなきゃいけないのに、バスが全部出てきたり、皆さん草刈り機持ってたり、日本で2000くらいマラソン大会あるんですけど、ほぼ赤字なんですよ。

(福島)
あと、オリンピックを知っている人たちの動きの素早さ、すごいですよね。完全にオリンピックレガシーですよね。

(宮田)
「2時間くらいで500mの距離の草刈ってきました」、「…えぇ!!??」みたいな。

(丸山)
現場力がすごいんですよね、打合せとかしてると心配になっちゃうんですけど、もうあと10日しかないのにって状況で、おっちゃんたちは余裕な表情しているんですけど、当日になるとすごいエネルギーを発揮して、大丈夫なんですよね。そこはやっぱりオリンピックを含めて普段から大会をいろいろとやっている強さはあるかなと思いますね。

(福島)
あれも完全に白馬の文化になってきているので、僕らが今度そのスピードで草刈らないといけないんですよね、ガンガンやっていかないといけない。
そして「まずやる」ですが、今度宮田さん大きいのやりますね。

(宮田)
私というか観光局事務局長ですよね(笑)。
来年バックカントリーの世界選手権を誘致することができまして、写真だけ見ると本当に過激というか世界で同時配信されて1億人以上が視聴するような大会なんですけれども、この大会は20年くらいやっていて、本当にセーフティファースト、安全第一でやっていて、雪崩事故回避のためのエアバッグが必須になっていたりとか、安全講習会に出ないと試合に出ることすらできなかったり。
元々創業者の理念というのも、今日何回も出てきてますけれども、スキーって伝来して100年ちょっとで、30年くらい前は全員バックカントリースキーヤーだったっていう感じですよね。もちろん当時はリフトが無かったわけで、その原点に立ち戻ったものをやっていこうではないか、というのをスイスの本部と話をして、中国などとも招致合戦をする中、なんとか白馬にもぎ取って持って来れたわけです。100年後に雪があるかわかりませんけれども、これ世界のスキーの人口なんですね。今オージーの方すごくいらっしゃってますけど、オーストラリアってスキー人口45万人しかいないんですよね。そのうちの24%くらいが今いらっしゃっている状態で、ヨーロッパって6000万人いるけど、ほぼ中で回遊していて、最近スイスから乗鞍に移住してきた夫婦とか、目立つようにはなってきたけど、統計的には0.01%にも満たないということですよね。この方たちに何とか白馬というものを、もちろん中国の方とかいろんな重要なお客様がいらっしゃいますけど、知ってほしいというのが目的というか、ビジョンですよね。

(福島)
最初に宮坂さんの基調講演で、インドにいる人がヒマラヤに行くのかシャモニーに行くのか、それとも白馬に行くのか。こういう大会って白馬に来てもらうための第一歩というのもあると思いますね。そういったブランディングというのももちろんあるんですけれども、こういうフリーライドというのは、たぶんこの会場にいる方で80代くらいの方ですとか70代くらいの方って、元々こういうスキーをされていた方ですよね。そこと、ここって正常な進化であり正常な系譜であると思うんです。スキーそのものの楽しみ方というのは、まずこういったものなんだというところ。そこに白馬がですね、100年前に白馬に伝わったスキーというのは、軍隊の訓練のスキーではなくて、それは新潟の方に伝わったんですけれども、それを持ち帰った人というのが、あくまでレジャーとしてのスキーを楽しむために白馬に持ち帰ったんですね。ですから、白馬のスキーの歴史というのは完全に冬山を楽しむための歴史、これが100年以上続いてきたんです。そう考えると、こういったフリーライドの大会ですとか、自然に雪山を楽しむというのはですね、白馬の文化・伝統の中でも正常な進化の形ではないかというふうに考えております。
100年前がこれで、今はまたエアバッグを背負ってフリーライドというものが始まりました。じゃぁ次の100年間、どういった形になるんでしょうね。ちょっと聞いてみたいと思います。宮田さん、どうなりますか。

(宮田)
100年後はもしかして雪ないんじゃないですか…(苦笑)
ただ、人を呼ぶためのとか、白馬を世界に発信していくための手段として、仮に雪があったとして、僕はもちろんそうであって欲しいと信じていますけど、何か発信する手段というのは、今は私たちがトレランやったりホテルの名前を世界に轟かせたりしていますけど、何か違った手段というものを、しっかりと魅せたいものだけを持っておけば、Howというかやり方はまた出てくると思いますけどね。

(福島)
雪があろうとなかろうと白馬の山の素晴らしさが損なわれるわけでは一切ないわけですしね。ひょっとしたらBack to the Futureみたいにホバーボートで下りるような形になっているかもしれないです。そうしたらあの斜面というものがまだまだ有効活用できるかもしれません、あくまで夢の話ですけれども。
そういった夢をどんどん語るために、まず第一歩を動く、これが大事なんだと思います。皆さんこれでこの会が終わって一歩外に出たら、一歩「ドンッ」と地面を踏みしめてください。あなたの踏みしめた地面というのは100年後も絶対残ります。我々ここにいる人間は100年後には居ないと思いますけれども、踏んだ地面は100年後に必ず残ります。周りを見てください。アルプスだけじゃなくて、東の山、北の山、南の山、100年後絶対残ってます、バカデカい隕石が落ちない限りは。ですから、皆さんが一歩踏みしめた明日の先が100年後なんです。そのために、みんな明日何やろうか。ここにいる我々もそうですし、今日登壇していただいた皆さんもそうです、皆そこだけちょっと考えてみませんか。その積み重ねがきっと100年後の素晴らしい笑顔につながっているんじゃないかと思います。 ちょっと変な締めだったかもしれませんが、今日登壇していただいた方、ぜひよろしくお願いします。 皆さん、どうもありがとうございました。